非正規格差 最高裁が判決 ボーナスや退職金について初の判断 | 働き方改革


非正規格差 最高裁が判決 ボーナスや退職金について初の判断

非正規で働く人たちが正規雇用の人たちと同じ業務をしているのにボーナスや退職金を支給されないのは不当だと訴えている2件の裁判で、13日、最高裁判所が判決を言い渡します。
ボーナスや退職金の格差について最高裁が判断を示すのは初めてで、非正規で働く2100万人を超える人たちの待遇の在り方に影響を与える可能性もあります。

大阪医科大学の研究室で秘書のアルバイトをしていた女性が訴えた裁判では、去年、2審の大阪高等裁判所がボーナスを支給しないのは不合理な格差で違法だと判断し、正職員のボーナスの6割の支払いを命じました。

また、東京メトロの子会社の元契約社員らが訴えた裁判でも、去年、2審の東京高裁が退職金を支給しないのは違法と判断し、正社員の退職金の4分の1の支払いを命じています。

最高裁判所第3小法廷は、この2件の裁判について13日午後1時半と3時に判決を言い渡します。

正規と非正規の格差をめぐって、最高裁は平成30年、格差が不合理か判断する際は手当てなどの趣旨を個別に考慮すべきだとする判断を示しています。

ボーナスや退職金の格差について最高裁が判断を示すのは初めてで、
判決の内容によっては非正規で働く2100万人を超える人たちの待遇の在り方に影響を与える可能性もあります。

労働契約法改正 不合理な格差を設けること禁止

アルバイトや契約社員といった非正規雇用で働く人の待遇をめぐっては、正規雇用との格差を改善するため、平成25年に労働契約法が改正され、新たな条文が加わりました。

労働契約法20条では、正規雇用と非正規雇用との間で待遇などに不合理な格差を設けることが禁止されました。

おととし最高裁 初判断「一部の手当て 不合理な格差」

どういった場合に不合理な格差に当たるのか。

この条文の解釈をめぐって最高裁は平成30年、初めての判断を示しました。

横浜市などの運送会社2社の契約社員らが、正社員と同じ仕事をしているのに賃金の格差があるのは違法だと訴えた裁判の判決で、最高裁は「格差が不合理かどうか判断する際は、賃金の総額の比較だけでなく、それぞれの手当てなどの趣旨を個別に考慮すべきだ」とする判断の枠組みを示しました。

そのうえで、通勤手当や作業、通勤手当手当てなどの一部の手当てについて「不合理な格差」にあたると判断しました。

正規と非正規の待遇格差 今週 最高裁 相次いで判決へ

最高裁判所は今週、正規と非正規の待遇の格差をめぐる5件の裁判で、相次いで判決を言い渡します。

きょうは2件の判決が言い渡される予定で、▼このうち、大阪医科大学の研究室で秘書のアルバイトをしていた女性が訴えた裁判は、主に「ボーナス」の支給をめぐって争われました。

▼東京メトロの子会社「メトロコマース」の元契約社員らが訴えた裁判では主に「退職金」の支給をめぐって争われました。

さらに、15日には、各地の郵便局で働く契約社員らが訴えた3件の裁判で判決が言い渡される予定です。

この3件の裁判では「病気休暇」、「年末年始の手当て」、「夏や冬の休暇」、それに「扶養手当」の格差をめぐって争われています。

これらの格差について最高裁は今回、それぞれのケースに応じて判断を示していくものとみられます。

格差是正へ 法整備進む

一方で、国は格差是正のためさらに法律を改正しています。

不合理な格差を禁じた労働契約法20条の規定は削除されて新たに「パートタイム・有期雇用労働法」が施行され、不合理な格差を禁止するとともに、厚生労働省が具体的にどういった待遇で格差があると法律に違反するか、ガイドラインも示しました。

この中では、会社の業績などに貢献した対価として支払われるボーナスは正規雇用と同じように支給しなければならないとしているほか、作業手当てや皆勤手当て、それに食事手当てなどについて、同じように支給するよう求めています。

大企業についてはことし4月から適用され、中小企業についても来年4月から適用されます。

法整備が進められる一方、正規と非正規の格差をめぐる裁判の判例はまだ少なく、最高裁判所の判断はおととしの判決のみです。

ボーナスや退職金は収入を大きく左右する待遇で、最高裁の判断が注目されています。

大阪医科薬科大学 非正規雇用秘書「ボーナス支給を」

大阪医科大学、現在の大阪医科薬科大学を訴えている大阪府の50代の女性は、平成25年から時給制の非正規雇用で研究室の秘書として働き、3年後に退職しました。

雇用契約上は時給1000円未満のアルバイトでしたが、勤務は朝8時半から午後4時50分までのフルタイムで、ほかの正規職員の秘書と待遇に大きな差があることに疑問を感じたといいます。

女性は、「仕事の内容や責任は正規職員と全く同じでした。『アルバイト』ということばだけを聞くと、ボーナスを支給されなくて当たり前だと思われがちですが、同じフルタイムで同じ業務をしているのに非正規だからと言ってボーナスが1円も出ないのは、実態と合っていないと強く思いました」と話しています。

ボーナスの支給日には正規の職員に明細書を配る業務もあり、「笑顔で配っていたが、理不尽さを感じていた」ということです。

女性は、今回の最高裁の判決が格差の改善につながってほしいと訴えています。

女性は、「正規と非正規との年収の格差に大きな影響を与えているのがボーナスです。非正規の人にもボーナスが少しでも支給されれば、働くモチベーションにつながっていくと思います。すべての働く人たちの喜びにつながるような判決を期待しています」と話しています。

東京メトロの子会社契約社員 争点は退職金

東京メトロの子会社「メトロコマース」で契約社員として働いていた女性ら4人は、駅の売店で正社員と同じように働いていたのに、退職金や住宅手当などが支給されないのは不合理な格差で違法だとして会社を訴えました。

2審の東京高等裁判所は、退職金などを支給しないのは違法だと判断し、正社員の4分の1の支払いなどを命じました。

最高裁では2人の元契約社員と、会社側の上告が受理され、争点が退職金に絞り込まれました。

2人はともに平成16年に契約社員として採用され、およそ10年間にわたって駅の売店の販売員として勤務していました。

専門家「判決が与える影響は非常に大きい」

労働法に詳しい東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授は、今回の判決の位置づけについて、「最高裁判所が非正規雇用の待遇について初めて判断を示した2年前の裁判では、運送会社で働く人たちの諸手当が対象だった。しかし、今回の裁判で争っているボーナスや退職金は金額が高く、判決が与える影響は非常に大きい」と話しています。

また、判決で注目すべきポイントとして、「最高裁は、ボーナスや退職金についてどのような性質や目的があるのかを考慮し、それらが非正規の人たちにも当たるのかを判断することになる。一方、雇い主側は、さまざまな経営判断や労使交渉の結果についても主張しているので、最高裁が最終的にどのような立場を取るのか注目している」と話しています。

そのうえで水町教授は、「これまで長年にわたって、契約社員やアルバイトといった非正規雇用の人たちは、経営側にとってコストも安く雇い止めもしやすい対象として扱われ、その結果、格差が拡大して深刻な社会問題となっている。ボーナスや退職金について一定の要件を満たす人には支払うべきだとする司法判断が出れば、格差の改善に向けた大きなステップとなるのではないか」と指摘しています。



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